片山魔崖碑

(概要)                                  卓
 この磨崖碑は、当時岳林寺の聖域と考えられる吹上台地の西端にこの梵字があることな
どから考えて、岳林寺造営の一環として大蔵氏の最有力者により作られたものと考えられ
る。市の指定史跡である。

(文献)
北友田2丁目片山
 この磨崖碑は、吹上台地の西端にあり、凝灰岩で出来ている岸壁を、縦3.5m、横1.96
mの大きさに、深さ0.15m位堀り、その中に、縦2.1m、横1.8mの大きな梵字でバク(釈
迦如来の種字)が薬研彫りで力強く刻まれている。銘は、
 右下に 「願主沙弥円阿敬白」
 左下に 「右合力結線 康永3年(1344)甲申孟冬18日」
 年代から考えると、岳林寺の造営が大蔵永貞によって完成したのが康永元年(1342)で
あり、同2年には永貞の子永敏により釈迦三尊が法印幸与らによって作られ、同3年にこ
の梵字の磨崖碑が完成していること、また当時岳林寺の聖域と考えられる吹上台地の西端
にこの梵字があることなどから考えて、この磨崖碑は、岳林寺造営の一環として大蔵氏の
最有力者により作られたものと考えられる。

昭和50年3月28日 市史跡指定