秋風庵

(概要)
 日田文化遺産の頂点に立つ「成宜園」は幕末の儒学者鹿瀬淡窓が開いた私塾である。い
まこの遺跡に「秋風庵」という建物が保存されている。かやぶきの「秋風庵」は国指定の
史跡で、鹿瀬淡窓はここで約30年間にわたり子弟の教育に専念、その門下生からは高野
長英、大村益次郎、長三州らの俊英が巣立っている。

(文献)
 史跡・成宜園跡は、1932年(昭和7年)に国史跡に指定されました。現在は、秋風
庵と西塾井戸だけが残っています。その秋風庵も解体修理を終えて平成9年4月にオープ
ンしました。
 そこで今号から毎月1日号で、オープンして1年がたった秋風庵についてお知らせしま
す。
 ご存じのとおり、成宜固というのは、1817年(文化14年)に鹿瀬淡窓の開いた私
塾で、約80年の間に全国から4800人以上の若者がここ集い学びました。そして大村
益次郎、上野彦馬、長 三州、清浦杢吾など有名な人を多く輩出しました。
 秋風庵は、この成宜園跡に残っている唯一の建物ですが、これは淡窓先生の伯父鹿瀬月
化が1781年(天明元年)に建てた居宅で、のちに淡窓先生の住居になりました。老朽
化したので平成6年から解体修理を行い、江戸時代末期の姿に復元され、平成9年4月2
1日に3年ぶりにオープンしました。そして、新聞や雑誌、テレビなどで数多く取り上げ
られたこともあり、多くの方が秋風庵を訪れるようになりました。
 淡窓先生が生まれたのは、1782年(天明2年)4月11日で、亡くなったのは18
56年(安政3年)11月1日です。そこで昨年11月1日には淡窓会主催の「平成淡窓祭」
が秋風庵で催されました。また、今年の1月26日には「第44回文化財防火デー防火訓
練」が開催され、春には「ひなまつり」に伴って来訪者が多くなりました。
 解体修理のため長い間、見学できなかったこともあって、昨年度の来訪者は虞瀬旭荘上
野彦馬その他の塾生の子孫や関係者など、全国各地はもちろん海外からの訪問者を含め、
1年間で2万3000人にのぼりました。
 今年も来訪者が次第に増えています。今まで訪れる機会のなかった方も是非、ご来訪く
ださい。お待ちしています。         

 (文/成宜園解説者 後藤 孝)
出典
広報ひた 成宜園