市山亭懐古館

(概要)
 市山亭懐古館では、徳川幕府の天態として栄えた市山料亭を通して、収集したり、寄贈され
た美術品や市山亭コレクション展示している。

(文献)
@市山亭は徳川幕府の天領として栄えた日田でも随一の料亭として、代官や、全国の文人墨
 客に愛され、親しまれてきました。市山亭という家号には、「山の中にあって市を成す。町
 にあって山の風情を漂わせる」という意味が込められています。市山亭懐古館では、料亭
 時代を通じ200余年にわたって収集したり、寄贈された美術品や市山亭コレクション、書
 画、食器などを6つのコーナーに分けて展示しています。今なお、江戸・明治の面影が色
 濃く残る館内で、往時の栄華と風雅の趣きに共鳴していただければ幸いです。
A沿革
・文化、文政時代(1800年頃)には、既に豆田町で市山亭の屋号で料亭を営んでおり、代官・
 文人墨客が訪れていた。(旧屋号は松本屋であった)
 この頃、俳人 広瀬月化が来亭し「市中に仙翁ありと喜久の宿」の書を記す。

弘化2年(1845年)、広瀬淡窓が来亭。その後も成宜園の門下生とともに、たびたび来亭する。
嘉永5年 (1852年)、 「逸雲の間」を創建する。
嘉永6年 (1853年)、 木下逸雲が「市山亭」の額を書く
明治25年 (1892年)、 本館を創建する。
明治33年 (1900年)、 森鴎外が来亭する。「小倉日記」に市山亭の記述がある。
大正14年 (1925年)、 清浦杢吾(第23代総理大臣)来亭。
昭和2年 (1927年)、 李王殿下来亭、ご宿泊。
昭和7年 (1932年)、料亭としての幕をおろす。

B逸雲の間(1F)
 秋の七草のふすま、及び衝立のばたんの絵、虎の書は長崎の三大画家の
 一人として有名な木下逸雲が描いたものです。また、12畳と8畳の座敷
 は、1852年(嘉永5年)に建てられた当時のまま残されている貴重な建造物です。
C美術品・市山亭コレクションの間(1F)
 多くの貴賓を迎えて、栄えた市山亭が収集した興趣あふれる美術品は粋の心がふんだんに盛
 り込まれており一見の価値があります。
D大広間(2F)
 江戸時代から続いた、おもてなし文化を物語る陶磁器・漆器などを揃えました。伝統文化の
 輝きに触れてください。
E文人墨客の間(2F)
広瀬淡窓、月化・田山花袋・徳富蘇峰・清浦重吉・嘉納冶五郎・双葉山そして最近では、今
東光・開高建など一流の文人墨客による俳画や色紙を展示しています。
F節句人形の間(2F)
 賛を尽くした武者人形・家紋入りの千成ひょうたんや稚児の衣裳などは、天領日田で一流の
 料亭として名を馳せた市山亭が特注で作らせたものです。
G鬼瓦・厨房器具のコーナー(2F)
重量感あふれる鬼瓦、そして、洗練された京風料理を生み出した厨房器具は、単なる資材や
 道具という枠を越えた魅力を持っています。


文献
市山亭懐古館パンフレット