鮎押し(アイ押し)漁

(概要)
 鮎押し漁とは、旧石井郷に古くから伝わる伝統的鮎漁である。夜間活動休止中の鮎を手
                                                                                        島

掴みで捕らえるものだが、鮎押し漁ができる条件を持った河川は全国的にも稀で、三隈川
でも大山町を含む数ケ所、延長にして約6km程度である。

(文献)
 旧石井郷(現在の津江三村、大山町、日田市の高瀬、五和地区)に古くから伝わる伝統
的鮎漁。
 鮎は日没後約一時間後から日の出一時間程前までの間、活動を休止する。なわばりの中
で物理的に流れの抵抗が少ない場所、川瀬の中の、流れを遮る中位の石の後方などで頭を
上流に向けて、腹を川底に密着させて静止させている。特に月の出ない暗い夜は眠りが深
く、光を当てたり指で触れたりすると、反応して一瞬逃げるものの、その逃行範囲は極め
て狭く、概ね上流に向かって半径1mの範囲に限られている。
 こういった鮎の習性を利用し、月のない暗い夜に、水深20cm前後から最大で80c
mくらいまでの、大小の石がまんべんなく川底に安定した瀬に、裸で入って鮎を上から川
底に押さえ付け、その後手掴みで捕らえる。
 鮎は夜間の活動休止中に於いても、河川の流量や温度に敏感なので、ダムの発電による
流量の調整などがある場合、アイ押し漁は困難になる。また鮎が好む清流であること、素
手で掴みやすい川瀬があること、川底に大小の石が適度にあること、長期間、10度から
25度の水温が保たれていることなどの条件を満たす河川は全国に於いても稀で、アイ押
し漁法の対象となる河川は数が限られている。三限川に於いても、実際にアイ押し漁を行
                           
えるのは大山町、天瀬町の一部と日田市、福岡県の杷木町の一部の、延長にして約6km
程度でしかない。
 同様の漁法は四万十川や長良川でも見ることが出来るとされているが、かつてこの旧石
井郷では、このアイ押し漁で現金収入を得ていた漁師の集団が存在していたというから、
いかに三隈川が鮎の生育に適した、豊かな川であったかが分かる。
出典
香魚の話